更生保護とは¶
概要¶
更生保護とは、犯罪や非行をした人が、社会の中で立ち直り、再び犯罪・非行をしないよう支援する制度です。刑事施設や少年院などへの収容だけでなく、地域社会での生活を通じた立ち直り支援を中心に据えており、「施設収容に代わる社会内処遇」とも呼ばれます。
日本の更生保護は、法務省が所管する保護観察所を中心として運営されており、全国に50か所の保護観察所があります。
更生保護の主な目的¶
- 犯罪・非行からの立ち直り(社会復帰) の支援
- 再犯・再非行の防止
- 地域社会の安全と安心の維持
単に「罰を与える」のではなく、その人の背景にある困難や課題に向き合いながら、社会に戻るための支援を行うことが核心にあります。
若者・年少者における更生保護¶
少年法と更生保護の関係¶
日本では、20歳未満(少年法上は現在18歳未満が「少年」、18〜19歳は「特定少年」)の非行少年に対して、成人とは異なる手続きが適用されます。少年事件は原則として家庭裁判所に送致され、審判を経て処分が決まります。
処分の種類は主に以下のとおりです。
| 処分 | 内容 |
|---|---|
| 不処分・審判不開始 | 処分なし(注意・訓戒など) |
| 保護観察 | 社会内で生活しながら指導を受ける |
| 児童自立支援施設・児童養護施設送致 | 福祉施設での生活・支援 |
| 少年院送致 | 少年院に収容し、教育・指導を受ける |
| 検察官送致(逆送) | 成人と同様の刑事手続きに移行(重大事件等) |
このうち「保護観察」と「少年院からの仮退院後の社会復帰支援」が、更生保護の中心的な場面です。
保護観察(少年保護観察)¶
保護観察は、施設に収容せず、地域社会の中で生活しながら立ち直りを支援する制度です。保護観察所に所属する保護観察官と、地域の民間ボランティアである保護司が連携して、定期的な面接・生活指導・就労や進学の支援を行います。
少年に対する保護観察の特徴¶
- 少年の成長発達を重視した働きかけ
- 学校・家庭・福祉機関など多機関との連携が重要
- 非行の背景にある家庭環境・貧困・学習困難などへの包括的な支援
- 「専門的処遇プログラム」(認知行動療法など)の活用
少年鑑別所¶
少年鑑別所は、家庭裁判所の審判前に少年を一時的に収容し、資質鑑別(心理・行動面のアセスメント)を行う施設です。法務技官(心理技官)が心理検査や面接を通じて、少年の状態を評価し、適切な処分の判断に役立てます。
また、収容中の少年に対して学習支援や生活指導も行われます。
少年院¶
少年院は、家庭裁判所の決定により送致された少年が収容される施設で、教育・指導を通じた矯正を行います。単なる「罰」の場ではなく、教育施設としての性格が強く、学習支援・職業訓練・心理教育が行われます。
少年院を仮退院した後は、原則として保護観察が継続されます。
少年院の種類¶
| 種別 | 対象 |
|---|---|
| 第1種 | 保護処分・刑の執行対象の少年(概ね12〜23歳) |
| 第2種 | 犯罪傾向が進んだ少年 |
| 第3種 | 身体疾患・精神疾患のある少年 |
| 第4種 | 少年刑務所に収容しうる年齢の少年(刑事処分) |
更生保護施設¶
刑務所・少年院を出た後、帰る家がない・家族との関係が断絶しているなどの理由で、すぐに自立した生活が難しい若者を対象に、更生保護施設が一時的な住居と生活支援を提供します。
宿泊場所・食事の提供に加え、就労支援・生活習慣の指導・各種機関への橋渡しなどが行われます。
自立準備ホーム¶
自立準備ホームは、更生保護施設を補完する民間の宿泊支援施設です。NPOやNGOが運営するものも多く、少年院・刑事施設を出た直後の若者が安定した生活基盤を作るまでの期間を支援します。
更生保護を支える人々¶
保護司¶
保護司は、法務大臣から委嘱された民間ボランティアです。全国に約47,000人おり(2024年時点)、保護観察対象者と定期的に面接し、生活・就労・対人関係などについて助言・援助を行います。地域に根ざした草の根の支援者です。
BBS会(ビッグブラザーズ・シスターズ)¶
BBS会は、非行少年や悩みを抱えた子どもたちと年齢の近い大学生・若者ボランティアが「兄・姉」のような立場で関わる運動です。1対1の「ともだち活動」や学習支援など、若者の目線に立った支援を行っています。
学習支援との接点¶
YELL for ALLが行う学習支援の現場でも、更生保護の対象となっている子どもや若者と関わる可能性があります。特に以下のような場面で、更生保護の知識は役立ちます。
- 児童相談所・児童自立支援施設と連携した支援
- 少年院・少年鑑別所退所後の進学支援
- 家庭環境に課題のある子どもへの関わり方
更生保護の視点は「問題のある子ども」としてではなく、困難な状況に置かれた子どもを、社会全体で支えるという考え方につながっています。